タイトルだけ見ると、何やら悲しい気持ちになってしまうこの本。「寂しい生活」は、稲垣えみ子さんという方が書いています。
この本の内容をざっくり言うと、50代の稲垣えみ子さんという方が、原発事故による節電をきっかけに、結果的にいろいろな物を手放していったというもの。
それには、なんと「ライフライン」、つまり電気やガスなどのことも含まれています。ついでに言うと、長年勤めていた会社までも、手放す(退職)してしまいます。
電気やガス無しでどうやって生活しているんだろう・・・と興味を持ち、気づいたらたった数時間で読み尽くしてしまうほど、面白い内容となっていました。
会社も辞めて収入がないのだから、節約せざるを得ない。けれども、「これって本当に必要なのかな?」を改めて考えてみたら、人間はわりとたくさんの物がなくても暮らせる生き物だということが分かってきます。
あくせく労働することを辞めたけれど、極限までお金をかけない生活を、楽しく過ごす。それを証明しているのが、この本の著者なんです。
なるべくお金をかけずに少ない物で暮らしていきたいミニマリストの私にとっては、本当にワクワクする内容の本でした。
「魂の退社」が前作にあたり、そちらは会社を退職するお話がメインとなっていますが、こちらの「寂しい生活」は会社を辞めたあとのお話がメインとなっています。前作を読んでいなくても読めます。
「寂しい生活」を読んでワクワクしてしまった

福島の原発事故、恐ろしい出来事ですよね。
この本の著者も、その事故を見たのがきっかけで「普段から原発に頼ってきた自分にも、落ち度があるんではないか」と考えるようになり、節電から始まり、結果的に色々なものを手放していったそうです。
まずは節電だから、「電気」を使わない生活を目指していきます。
文字にするだけの簡単なものではないですが、著者はいたって淡々と、「こうしてみたらどうだろう」「ああしてみたらどうだろう」と案をひねって節電を試みます。
明かりをこまめに消すどころか、最終的には夜に電気をつけることすら辞めてしまった著者ですが、そこにいたるまでの節電のやり方や工夫が、「研究」のようで読んでいてもとても面白いです。
どんどん「これなくてもいいかも」と手放していく著者を見て、なんだかワクワクが止まりませんでした。
私も同じことができたら、もっともっと手放してミニマムに暮らせるかもしれない・・・!と思わせてくれたからです。
「節電はおろか、ライフラインや、たくさんの家電製品を手放すなんて苦行でしかない!」と思ってしまいますよね。でも、本当にそうでしょうか?
この本では、「こうじゃないといけない」といった固定概念を、解きほぐしていってくれた気がします。
著者が手放したもの

- 電気・水道・ガス
- 贅沢な消費
- 家電製品
- 広い家
- 会社
電気・ガス・水道のライフラインを手放すとは、よっぽどの覚悟がないと真似できないですよね。
もちろん著者もいきなり全て手放したわけではなく、少しずつ手放していって、最終的に全部いらなくなったという形で収まっているようです。
贅沢な消費とは、月に何万円もの洋服を買っていたことや、外食をしていたことです。洋服はたくさん持っていなくても生きていけますからね。また、外食を少なくすることで、食費も抑えられ、ダイエットにも効果的です。
また、著者は少しずつ家電製品を手放していっています。最初はテレビだとか、掃除機。なくても命に直接関わらないようなものです。
しかし最終的には、電子レンジ、冷蔵庫といった、「ないと生活に支障が出る」ようなものまで手放すことに成功しています。
この辺はまだまだ真似できませんが、もし本当に必要なくなったら・・・もっとコンパクトに暮らすことができますね。
手放すことは、別の豊かさを得ることだ

- 電気やテレビをつけないことで、暗闇のわずかな光や、虫や風の音に気がつくことができた
- エレベーターに乗らないことで、駅の階段がエクササイズジムになった
- メンテナンスのかかる面倒な掃除機を辞めて、雑巾とほうきで掃除してみたら、逆に掃除が好きになった
「なくなっても生きていける、という衝撃」と著者は書いていますが、その感覚がとてもよく分かるんです。
今まで「これは絶対に必要」と思っていたものが、実は生活を複雑にさせていた。なのでそれらを手放してみたら、無くても生きていけるどころか逆に快適で、しかもお金もかからない!ときたもんです・・・衝撃ですよね。
この感覚、ミニマリストの方なら経験ありませんか?
身ひとつで色々なことができるのが本当の自由

下記のような思い込みはありませんか?
- 炊飯器がないとご飯が炊けない
- 洗濯機がないと洗濯ができない
- 冷蔵庫がないと食べ物を保存できない
- 電子レンジがないと食べ物が温められない
- 冬場はヒーターやエアコンがないと寒くていられない
今の時代、たくさんの道具があります。とても便利で、手放すなんて考えられない。・・・とつい思ってしまいがちです。
「これがないから、アレができない」と言い訳するのはとても簡単です。しかし、ちょっとだけかっこ悪いですよね。
でも、この本の著者のように、洗濯機がなくても洗濯板と手があれば洗濯できちゃうよ。とか、電子レンジがなくても鍋で蒸せばいいとか、暖房器具に頼らずに、自分自身を発熱させればいいとか、発想の転換ができれば、たくさんの物は必要なくなってくるのかもしれません。
冷蔵庫がなくても、その日に食べるものだけ買えば問題ないし、野菜を腐らせないように干して栄養を濃縮させたり、簡単に真似はできないけど、「そういう方法もあるのね」と知っておくのも大事だと思います。
たくさんの物に頼らず生きていけるとしたら、それが本当の「自由」と言えるのではないでしょうか。

この記事のまとめ
「絶対に必要」と思い込んでいた物が、実は要らなかったと感じられたらどうなってしまうんだろう?・・・・ということが書かれているこの本。
「自分に必要なものって、こんなに少ししかないんだ」と気づき、ちっぽけで、寂しくて・・・でもそれが、実は自由であり、豊かさであり、今を生きるということなのだと、考えさせられます。
「ブッダ」や「悟る」「今を生きる」というワードが出てくるこの本。仏教のおしえにも近いものがあります。この本が気に入ったら、下記の本もおすすめです。
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